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最高にすてきでした。
私は即座に、この香りは「F」という香水だと確信しました。
以前、この香水を日本に紹介したことがあったからです。
サプライヤーによれば、フラカは、第二次大戦直後の1948年に発表されたものの、戦後のドサクサでレシピが行方不明になり、幻の香水といわれていたのですが、1980年代に再現されたとのことでした。
また熱狂的なファンがいる一方、一般にはあまり知られていない、知る人ぞ知る、隠れた名香だとも聞きました。
そこで、彼女が挨拶に来てくれたとき思わず、「すごいですね。
Fですか」とたずねました。
知ってるぞ、という意気込みがあったのです。
ところが彼女は一瞬当惑したように微笑みながら、(多分ね)と答えました。
あとでこの話をイタリア人の友人にしたら、「ばかだなお前、香水の名前を当てられて彼女の面目は丸つぶれ。
たとえ知っていても、聞くほど無粋なことはないよ」と言われました。
いつ思い出しても恥ずかしい話ですが、貴重な体験でした。
ミラノに住む親友のイタリア人夫婦のひとり娘、カテリーナの結婚式の日だったからです。
結婚式は、スイスの国境に近いアルプスの麓にある小さな山村の教会で行われ、新郎新婦の友人たちをはじめ、総勢百名ほどがお祝いに駆けつけました。
パイプオルガンの演奏がおごそかに流れるなか、父親にエスコートされた彼女がヴァージンロードを通り過ぎたとき、懐かしい香りが漂いました。
それはCの「AA」でした。
ユリをベースに、白い花々がやわらかく匂い立つ可憐な香りで、彼女が高校生になったときに両親から贈られた、初めての香りでした。
たぶん彼女は、この香りをつけて彼と知り合ったのでしょう。
そして、言葉では伝えきれない両親への感謝の気持ちをこめて、この日のために選んだのだと思いました。
わたしにとって忘れられない日となりました。
恋にまつわる香りの話は意外に多いものです。
昔、フランスの宮廷で、貴婦人が、香りのついたハンカチを意中の男性のそばにわざと落として、恋のきっかけを作ったという話や、愛用の香りをつけただけで、何も書いていない手紙で恋心を伝えたというエピソードなどが、いまも伝えられています。
このように、よい香りは相手に、その女性の存在をさりげなく、しかも強烈に印象づけるのです。
友人に仲睦まじいカップルがいます。
先日、ふたりの銀婚式を祝うホームパーティーに招かれました。
その日、彼女がつけていた香水は、Hの「K」、彼はCDの「OS」。
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